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世界経済の現状と国際貿易の成長

グローバル・バリュー・チェーンが国際貿易の大きな部分を占めるという状況は今後も続くと予想されており、これが国際貿易額の増大、ひいては世界経済の成長に直接つながると見られています。

しかしその一方で貿易摩擦が国際的な緊張を生むという問題もはらんでいることから、グローバル化した生産プロセスが健全かつ、世界貿易経済の成長へ向かうべく、現在さまざまな機関が支援を行っています。

IMF(国際通貨基金 International Monetary Fund、IMF)によると、2013年の世界経済成長率は、2012年と同じく、3.1%成長数字にとどまると見られています。2014 年の世界経済は,2013 年後半から徐々に回復して 3.8%成長が見込まれています。

この数字だけを見ると、国際間の格差はあるものの世界経済全体は同じようなペースで成長していることが分かります。この数値をそのまま当てはまるとすると、国際貿易額もこれと同じペースで拡大していくと考えるのが普通です。つまり、今後も国際貿易は少なくとも3%以上の成長を続けると見るべきでしょう。

国際貿易の今後も見る際、資源貿易についても今後は拡大が見込まれています。中国など新興国の資源需要は今後も拡大するのが確実ですが、その一方でシェールガス革命による資源産出国の勢力図が大きく変わることも確実視されているため、資源貿易の流れや構図が変わっていくことが国際貿易に与える影響が大きくなっていくことでしょう。

日本、中国の現状とグローバル・バリュー・チェーン

中国の貿易拡大は中でも目覚ましく、貿易総額ではすでに日本を抜いています。

輸出・輸入額は世界第3位であり、貿易黒字・対米黒字も増加し、2000億ドル超となっています。

日本経済についても、近年は回復が進み、薄型や一眼レフカメラなどの新価値を付加したデジタル家電や、ハイブリッド車、高級鋼材、航空機や電子機器向け部品、人的資源供給など、アイデアや質量に富んだ海外輸出展開が活発になってきています。これは日本が最も得意とする分野で成長戦略の中核を占めているものばかりなので、今後も成長軌道は続くでしょう。

先進国のみならず、経済途上国や小さな新興国にもグローバル化の影響は強く見られます。大国同士で完成品を主に取引されていたころは、市場から追いやられていた部品部分の生産について特化した産業も盛んになり、原料や部品、組み立てなどを、複数の国にまたがって行う「メイド・イン・ザ・ワールド」が当たり前となっています。このようにグローバル化された生産プロセスは「グローバル・バリュー・チェーン(GVC)」と呼ばれ、国際貿易の新しい形として定着しています。

国連貿易開発会議(UNCTAD)によると、現在の世界貿易の80%を、このグローバル・バリュー・チェーンが占めているそうです。

ただし、メリットばかりでは無論無く、各生産について、厳しい基準と妥当な労働条件を満たしたうえで製造されていると保証されている訳ではないことや、グローバル化が引き起こす利益を巡り、特に大国からの思惑と、国益をかけた駆け引きが行われることで、政治的緊張や摩擦が起きているのも事実です。

それが貿易の不公平や労働者への緊張は、戦争の危機をはらんでいると言っても大げさではない時代です。

世界の貿易の現状

2012年以降の世界貿易経済は、2013年まで横ばいに推移し、同年を底に回復を見せています。理由として、一部の新興・開発途上国地域の経済成長が、主要な輸出先である先進国・地域の経済低迷や自国の投資ブーム一巡によって、著しく鈍化したことが関係しています。

それにより、世界経済はやや減速傾向にあったのですが、懸念されたユーロ圏の崩壊や、米国の「財政の崖」からの転落による急激な財政引き締めが回避されたため、危惧されたほど大きな幅にはならなかったというのがもっぱらの見方です。

ただし、2013年の米国の金融緩和の終了観測から、新興・途上国に流入していた投資家の資金について、大幅な引き揚げが起こることも予想され、新興・途上国での株価安・通貨安・インフレなどの可能性も示唆されています。

それら地域での経済成長経済成長について、さらなる鈍化も懸念されており、世界経済全体については予断を許さない状況にあります。

とは言え、世界における国際貿易による、各国国際経済の成長と伸びは年々著しくなっており、これがグローバル化と貿易額の増大につながっています。

インターネットの普及、交通機関の発達によって、国境間・国間の距離と時間が短縮縮小され、益々成長の傾向にあるのは誰もが認識しているところで、これがいわゆる貿易のグローバル化と呼ばれるものです。

現在時点で、世界国別輸出高のトップは3年連続でドイツで、輸入及び輸出の総額については、アメリカが、世界最大規模を占めています。また、石油の高騰により、産油国である中東・アフリカ・ロシアの輸出額増加と、BRICs(頭文字の順にブラジル、ロシア、インド、中国)が、世界貿易に占める割合も拡大傾向にあり、発展途上国の超躍進が目立っています。