日本、中国の現状とグローバル・バリュー・チェーン

中国の貿易拡大は中でも目覚ましく、貿易総額ではすでに日本を抜いています。

輸出・輸入額は世界第3位であり、貿易黒字・対米黒字も増加し、2000億ドル超となっています。

日本経済についても、近年は回復が進み、薄型や一眼レフカメラなどの新価値を付加したデジタル家電や、ハイブリッド車、高級鋼材、航空機や電子機器向け部品、人的資源供給など、アイデアや質量に富んだ海外輸出展開が活発になってきています。これは日本が最も得意とする分野で成長戦略の中核を占めているものばかりなので、今後も成長軌道は続くでしょう。

先進国のみならず、経済途上国や小さな新興国にもグローバル化の影響は強く見られます。大国同士で完成品を主に取引されていたころは、市場から追いやられていた部品部分の生産について特化した産業も盛んになり、原料や部品、組み立てなどを、複数の国にまたがって行う「メイド・イン・ザ・ワールド」が当たり前となっています。このようにグローバル化された生産プロセスは「グローバル・バリュー・チェーン(GVC)」と呼ばれ、国際貿易の新しい形として定着しています。

国連貿易開発会議(UNCTAD)によると、現在の世界貿易の80%を、このグローバル・バリュー・チェーンが占めているそうです。

ただし、メリットばかりでは無論無く、各生産について、厳しい基準と妥当な労働条件を満たしたうえで製造されていると保証されている訳ではないことや、グローバル化が引き起こす利益を巡り、特に大国からの思惑と、国益をかけた駆け引きが行われることで、政治的緊張や摩擦が起きているのも事実です。

それが貿易の不公平や労働者への緊張は、戦争の危機をはらんでいると言っても大げさではない時代です。