TPPと自動車産業

日本とTPPの関係を考える時に必ず登場するのが、日本の自動車産業との関わりです。ご存知の通り、日本の自動車産業は世界のトップクラスを走っており、これは今も昔も変わりません。世界中のどこに行っても名前が知られているような自動車メーカーが日本国内には何社もあります。

そんな自動車産業についても、TPPは関税や自由貿易の障壁となるような制度を撤廃することを目指しています。そこでやり玉にあがっているのが、日本の軽自動車です。

日本国内の道路上を走っている車のうち、軽自動車はなんと3割を超えています。この比率は年々上昇するという流れをずっと継続しており、このままいくと半分が軽自動車ということもあり得るかも知れません。しかし、世界に目を向けると軽自動車は日本独特の仕様であることが分かります。海外で走っている日本車を見ても軽自動車が走っているところを見るのは皆無です。

それではなぜ日本国内だけでこんなに軽自動車が人気なのでしょうか。最大の理由は税金など維持費の安さです。燃費が良いので維持費が安いというだけならプリウスやアクアでも良いはずですが、軽自動車は自動車税がとても安く、これが決定的な理由となっています。また、地域によっては車庫証明が要らないことなど制度上の取り扱いが簡素化されているので、取り扱いやすいというのもあるでしょう。

アメリカの自動車業界は、この軽自動車制度を撤廃せよという要望を出しています。アメリカの自動車メーカーにこんな車を作る技術はないので、軽自動車のメリットをなくすことで自国の自動車が売れるようにしたいという思惑です。

まさにアメリカらしい乱暴な考え方で、仮に軽自動車の税金的なメリットがなくなったとしても、そのまま需要がアメ車に向くとは考えにくく、このあたりにも国家のエゴがTPP交渉に見え隠れしています。