WTOに関する正式な知識

WTOはWorld Trade Organizationの略で、世界貿易機関と訳されています。ウルグアイラウンドにおいて策定された「WTOを設立するマラケシュ協定」

(以下「WTO協定」)において、その所掌、役割、組織などが具体的に規定されました。

それに規定・記載された【WTOの役割(第3条)】によると、

WTOは、WTO協定及び多角的貿易協定を管理・運営するとともに、加盟国間の貿易交渉の場を提供する。また、WTOは附属書2に掲げられた紛争解決了解及び附属書3に掲げられた貿易政策検討制度を管理する。また、WTOはIMFや世界銀行等の他の国際機関と適宜協力すること・・・などが明記されています。

これを平たく言い換えると、国際間の貿易紛争を調停する機関であるというように意味合いになります。

WTOは、前身であるGATTの役割をより強化して引き継ぎ、世界で自由に貿易が出来るようにするためのルールや、貿易に関してのもめごとを解決するためのシステムを作っています。ちなみにGATTとは、貿易に関する基本的なルールとして1948年に作られたもので、関税および貿易に関する一般協定のことです。

WTOは、世界で自由に貿易が出来るようにするため、GATTの時代より、関税を引き下げる交渉や、非関税障壁(関税以外の方法で輸入制限などを行うこと)を無くす交渉、また、農産物貿易やサービス貿易、知的財産権の保護(発明をした人たちの権利を守ること)に関する交渉など、たくさんの交渉を行っています。その交渉を「ラウンド」と呼び、ルールを決める際、少数の国々で話し合うのではなく、加盟国全体で決議を行っていくのが特徴です。

従来のGATT協定が、貿易の「物品」を扱う部分のみに触れていたのに対し、WTOは、貿易、投資、競争政策、労働基準、環境、電子商取引、金融、通貨政策など、広範な分野における、国際的ルールの確立に取り組む機関であるのは、時代のニーズに合致させるためです。