WTOと日本の関わり

日本はWTOに加盟することにより、自由貿易の恩恵を最も受けてきた国の一つといわれています。やはり加工貿易経済というビジネスモデルを確立している以上、このような国際貿易の枠組みに入ることは最も日本の国益にかなっているということなのでしょう。今後の日本経済のためにも、日本はWTOに対し積極的な役割を果たしていくことが望まれています。

また、近年の各国のFTA(自由貿易協定)網構築の動きに出遅れた日本にとっては、WTOの多国間の枠組みの重要性がいっそう増しているという指摘もあります。

実は日本企業は、FTAが無いためにしばしば大きな不利益を被る立場に立たされており、こうした不利益を最小化するために、WTOを通じて多国間ルールを強化することが有効なのです。

現在、日本が自由化を迫られる代表的なものとして、農業が挙げられます。よくニュースで報道されているのでご存知の方も多いでしょう。農業保護、生活の必需品であることの配慮などを理由に、過度の自由化に反対しているわけですが、アメリカ、オーストラリアなどの大農産物輸出国からは強く自由化を求められている状況です。

日本の農業は国際化の波を免れられないところに追い込まれていますが、新しい農業の変革期であり、再出発になるであろうと考える人も多くいます。国内の消費量を基準にした農業ではなく、世界市場を切り開いていく道を拓く為に、

WTOを交渉の場として選んだ日本が、海外でも受け入れられる日本の農業とは何かを問われているわけです。

このことは、WTOと同じく日本と密接に関わっていくことが予想されるTPP(環太平洋パートナーシップ協定)でも同じです。