WTOの精神

WTO前身であるGATTは、あくまで国際条約協定であるのに対し、WTOは国際貿易を促進するための『機関』であるため、制裁を加える権限が与えられていることが、根本的な違いです。

基本原則は以下の3点です。

・自由(関税の低減、数量制限の原則禁止)

・無差別(最恵国待遇、内国民待遇)

・多角的通商体制

WTOでは「ラウンド」と呼ばれる、多角的貿易交渉を通して、国際貿易に関するルール作りを行います。貿易ルール策定の対象となるものは物品だけでなく、金融・知的財産権・サービスなども含みます。また、WTO加盟国の権利義務関係が明確かつ、公正明大な貿易をするように、「WTO協定」が制定されています。

貿易に関する紛争が起きた場合、対抗処置の発動では、紛争処理機関「パネル」の提訴に対し、全加盟国による反対がなければ採択されるという、「ネガティブ・コンセンサス方式」(逆コンセンサス方式)を採用した、強力な紛争処理能力を持ちます。これは国際組織機関としては稀であり、WTOの大きな特徴の一つといえるでしょう。

国際貿易は国際紛争に発展することが時折あるため、これを強制的に解決する手段を持った国際機関でなければ、再び武力による解決を求めるケースが危惧されるというのが、WTO設立当初からの重要な精神です。