外国から見たTPPのメリット

日本のメディア報道はどうしても日本からメリットやデメリットにばかり目線が行きがちですが、TPPは多国間交渉なので必ず相手方がいます。その相手方にもそれぞれの立場があるわけで、もちろん日本に対してもそれぞれの思惑を持ってTPP交渉に参加しているはずです。

ここでは、外国から見たTPPのメリットについて考えてみましょう。

TPPは実質上、アメリカが主導しています。そこにたくさんの太平洋諸国が加わることでアメリカとの自由貿易圏を作るというのが本来の目的です。そこに日本が加わると、どうなるか。

なんと日本とアメリカのGDPを合わせると、TPP参加国全体の中でも90%以上を占める巨大な経済パワーとなります。それまではアメリカとの貿易圏を作るだけでもメリットを感じていた参加諸国が、日本まで加わることに大きなメリットを感じています。日本は後から入りたいと言ったわけで、本来であれば冷遇されてもおかしくない局面です。しかし、アメリカの動きもあって日本は後発ながらTPPの交渉にしっかりと参加できている状況です。これは間違いなく、すでに参加を決めている国々が日本という市場に魅力を感じているからです。

日本が貿易の各部門で関税を撤廃すれば、外国にとっては大きな貿易市場となります。特にTPP参加国の中には農業を主要な産業に据えている国が多いため、農業分野で日本市場に参入できることに意義を感じている国も少なくありません。

外国から見たTPPというのは、アメリカだけでなく日本の市場にも参入しやすくなる環境そのものなのです。