TPPにおける最大のリスク

TPPの分野には金融、通信、建設、食品、物流、サービス、保険、医療、IT等ほぼすべての分野が例外なく適用されます。これがもたらすデメリットの最たるは、TPPの管理下では各国の法治国家の法を超えて、TPPの決定事項が優先されるというとんでもない条項です。

これはISDS事項(ISD条項)といって、TPPを前提に海外に進出した企業の権利を保護するために設けられているものです。TPPがあるからこそ投資、進出した企業の活動が制限されることがあってはならないというわけですが、そのために自国の法律よりもTPPが優先されるというのは、かなり乱暴だと思います。

関税の無い経済状況で、資本主義経済を牽引主導してきたのはアメリカであり、

こと貿易に関するすべての分野で攻勢をかけることができます。最悪の予測では、健康保険などの公的福祉の範囲にまでその類は及び、それを撤回しようとしても国内法よりTPPが優先されてしまうのはリスクです。

また、離脱が困難であることもリスクとして挙げられています。ルール上、離脱はいつでも可能とされているのですが、実際にはTPPを前提に進出を海外企業からの莫大な損害賠償請求が予想され、それが足かせとなってTPPから自由に離脱はできないのではないかというわけです。

その他、外国人労働者(外国企業、外資、看護師や介護士など)の受け入れに関する規制ができなくなる他、基準・認証などの非関税障壁の撤廃も迫られるというリスクもあるでしょう。

こういった性質上、通常の自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)よりも、

モノやサービスの取引自由度や競争は高まるものの、国内に保護すべき産業を抱えている国々については協定に加わるデメリットも同時に大きいのがTPPのリスクです。